summer pockets 総評

 四回に渡り考察感想を書いてきましたが今回でラストです

 

  • 主人公の性格

 プロローグではあたかも主人公が「部活で挫折」して島に心を癒しに来たかのように描かれていますが、実際には言葉足らずであり、「部活で挫折して、グレて停学処分になり、家に居場所がなくなったので逃げてきた」というのが正解です。 そのことを踏まえて考えると、自分のことを「歌を忘れたカナリア」などと表現していたのは、少々自分のことを棚に上げすぎなような気がします。

 

  • BGM

 BGMは陳腐な表現になってしまいますが、どれも耳に残る素晴らしいものでした。特にラストの方で流れる「ポケットをふくらませて」のイントロは、物語が終わってしまうせつなさと合わせて強く記憶に残りました。

 

 

  • 総評
 このゲームは主人公に感情移入して物語を楽しむタイプではなく、第三者として傍観するタイプなので、そのあたりは好みが分かれると思います。
 ゲームのプレイヤーである私は、蒼やうみのようにボロボロになってでも愛する人を助けようとする展開にとても胸が熱くなるのと同時に、「物語の傍観者である自分が感動していること」に罪悪感を感じてしまいました。それほどゲームの没入感は高く感じました。これはアニメのような鑑賞型の娯楽ではなく、ビジュアルノベルというジャンルならではだと思います。
 ループ物としては若干設定の甘さが感じられますが、それを補って余りある没入感はこの季節の一致も相まって最高のものだったと思います。主人公が活躍せず、純粋に世界観に浸りたいひとにおすすめのゲームだと思います